青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2016-09-17から1日間の記事一覧

『誰もいないホテルで』 ペーター・シュタム

「凡庸さの連続が豊饒な生の厚みに変わるその一瞬を、シュタムは逃さない」という堀江敏幸の評に引かれて手にとった。ペーター・シュタムはスイス生まれの作家で、十篇のうち一篇を除いて、故郷である、ドイツ国境近くのボーデン湖を望む丘陵地帯を舞台とし…