青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

「最初の晩餐」

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わが家に来てから三週間ほどたつ。少しずつだが馴れてきているのを毎日感じる。ヒマラヤンはあまり高いところに上らないと言われている。家に来てからも、じっとしていたい時や眠る時は椅子の下や部屋の隅っこにいることが多かった。ところが、ここ何日か、誰もほかに座っていないとき、ダイニングの椅子の上に上ってくるようになった。昼寝も椅子の上でするようになり、クウ、クウといびきまでかいて寝ている。愛らしいかぎりである。

昨日は、隣の椅子で朗読奉仕の練習をする妻の横ですやすや眠っていた。階段を下りてくる足音がするだけで、それまでしていたことをやめて警戒感を強める癖がなおらないのに、耳になじんだ人の声には驚かないようだ。ニコという呼び名はすっかり自分のことだとわかっているらしく、呼べばこちらを振り向いてやってくる。

もともと、食事時になるとテーブル近くに寄ってきて妻を誘うように「かまって攻撃」をしかけてくるニコだったが、ついに昨夜は食事中も隣の椅子に座ったままだった。テーブルをともに囲むと、家族としての一体感が強まるのは、相手が猫でも変わらない。お行儀のよいことに食事中のテーブルには上がってこない。もっと馴れてもそれはそのままがいいな、と思う。