青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

階段を駆け上がる

片岡義男の最新短編集である。にもかかわらず、どこかで読んでような気がするのはどうしてかと、自分の過去の書評を検索してみた。『白い指先の小説』という、やはり片岡の短編集があるが、その本の書評に、今回も自分ならこう書くだろうなという評があった…

劇的な人生こそ真実

萩原朔美という名前をはじめて目にしたとき、なんというたいそれたことするものだ、と正直驚いた。萩原朔太郎といえば口語自由詩の完成者としてあまりにも有名。その大詩人から三字を勝手に拝借するなんて、あまりにも畏れ多いと感じたのだ。高校の教科書に…

近江商人の町

滋賀県に行って来ました。 出かける前、どこに行くか決められず、とりあえず温泉セットだけ用意して高速に乗った。新名神方面でどこか美味しい物が食べられて温泉のある場所、というところまでは決まった。 走り出してしばらくすると、前に一度行ったことの…

メイスン&ディクスン

メイスン&ディクスン。脚韻を踏んで調子のいい響き。ロミオ&ジュリエット、ジキル&ハイド、フラニー&ゾーイ。二人の名前の組み合わせを表題にした作品は数多くある。丸谷才一は『文学のレッスン』の中で、作品を評価する点における登場人物の魅力をもっ…