青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2012-09-26から1日間の記事一覧

『洋食屋から歩いて5分』 片岡義男

いきつけの喫茶店に入って、いつもの席につきコーヒーを飲む。日常の何気ない、けれどそれがきまりになっているらしい律儀さで、ほぼ毎日のルーティン・ワークになっている。そんな店で飲むいつものコーヒーのような味わいの一冊である。エッセイ集と呼ぶの…

『小犬を連れた男』 ジョルジュ・シムノン

「《ぼく、フエリックス・アラールは四十八歳で、パリ三区、アルクビュジィエ通り三番地に住んでいる……》他の人々の遺書でのように、こうつけ加えるべきか、《心身ともに健康》?」冒頭から不穏な事態がほのめかされている。「遺書」?それでは、出す相手の…