青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『マルタの鷹』講義

『マルタの鷹』は、ダシール・ハメットの代表作であるだけでなく、ここからハードボイルド探偵小説というジャンルがはじまったというべき記念碑的な作品である。サム・スペードがいなければ、レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウも、ロス・マク…

10000歩

昨日いつものように歩いていたら、退職した大先輩に会った。 「こんなとこまで歩いているの?10000歩ぐらい歩く?ぼくは、6000歩がせいぜいだなあ。」 「いえ、まあ3000歩ぐらいですよ。」 と答えたのだったが、今日は天気もよく、少しがんばっ…

『2050年の世界地図』

少し前に読んだマーセル・セローの『極北』の舞台がシベリアの永久凍土だった。近未来を描いた小説が極北を舞台に採用していることが新鮮だったが、この本を読んで、作家がなぜ北の土地を選んだかがよく解かった。未来予測をテーマにした本は多いが、わずか…

ニケは元気です。

一日中家にいるようになってから、ニケはとっても甘えん坊(嬢?)になりました。 昼間もほとんど寝ているけど、眼が覚めたときにそばにいないと、探しに降りてきます。 もう一度寝たいときにはベッドに連れて行き、腕枕をおねだりします。 寝たりたときは、…

『批評とは何か』

正直なところ、テリー・イーグルトンの名前は何度も目にしているが、書かれたものを読んだことがない。そんな人間がこの分厚い本をなぜ手にとってみようと思ったのか。理由は至極簡単、面白そうだったから。筒井康隆の『文学部唯野教授』でも紹介されている…

『巨匠とマルガリータ』 ブルガーコフ

もうずいぶん昔、『輪舞』という洋画があった。オムニバス風にいくつかのエピソードがあって、ひとつのエピソードの最後のシーンが次のエピソードの始まりにつながるというしゃれた形式だった。そこから、こういう映画のことを「ロンド」形式と呼ぶようにな…

コンピュータを買った。

新しいコンピュータを買った。今まで使っていたのはイーヤマのデスクトップでOSはWindows 98SE。さすがに近頃は使いづらくなってきていた。古いOSやモニタに対応してないサイトが増え、画像がワイド画面を基準にしていて普通のモニタではちゃんと表示されな…

『極北』

いわゆる「近未来小説」。何らかの理由で人類が滅亡しかけた後に生き残った人々の悲惨な生活を描いた「ディストピア」ものである。しかし、この紹介ぶりから、よくあるSF小説を想像されると困る。たしかに、設定はSF的かもしれないが、内容はきわめてリアル…