青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『終わりの感覚』ジュリアン・バーンズ

高校時代の歴史の時間、老教授の「歴史とは何だろう」という問いに、主人公トニー・ウェブスターは「歴史とは勝者の嘘の塊です」と答えている。斜に構えて見せたつもりだろうが、紋切り型の使いまわしにすぎず、主人公の凡庸な人となりを現している。老教授…

新編バベルの図書館

かつては作家別の分冊という形式で同出版社から刊行された「バベルの図書館」シリーズを、数人の作家を出身国別にまとめたものである。新編を名乗ると同時に、以前はペイパーバックの体裁であったものが、上質の紙に余白を充分とった角背ハードカバー、函入…