青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『作者を出せ!』デイヴィッド・ロッジ

原題は“ Author, Author ” 。つまり『作者、作者』の意味で、劇の幕が下りて拍手が鳴り止まず、カーテン・コールに作者の登壇を呼びかける観客の掛け声。もっとも、それがブーイングの声といっしょにかかるときは、「作者を出せ!」つまり、「責任者出て来い…

『沈むフランシス』松家仁之

『火山のふもとで』で鮮烈なデビューを果たした松家仁之待望の第二作。期待にたがわぬ出来映え、といいたいところなのだが、前作に比べると、よくできた小品という印象が強い。相変わらず叙述の技巧は冴えわたり、読む快感を堪能できる仕上がりなのだが、前…

『絶倫の人』デイヴィッド・ロッジ

ジェローム・K・ジェローム、イーヴリン・ウォーの系譜に連なる英国滑稽小説の名手デイヴィッド・ロッジの手になる伝奇小説ならぬ伝記小説。しかし、名うてのロッジの手にかかる人物が、『タイムマシン』、『透明人間』などのSF小説作家として知られるあ…