青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「陽のあたる場所」

連休明けを待って、二週間ぶりに病院を訪れた。皮膚の状態を診てもらったところ、炎症を起こしていたところもきれいになり、「これでよしとしましょう」とお墨付きをもらって帰ってきた。もっとも、薬のほうはあと二週間分出た。先生曰く「とどめの薬」だそ…

『服従』 ミシェル・ウエルベック

示唆に富む小説である。著者の作品は『素粒子』しか読んでいないのだが、それに比べると、ずいぶん読みやすくなっている。小説の核となる部分は近未来を扱っているが、それほど遠い未来ではない。舞台はフランス。主人公はパリ第三大学教授フランソワ。専門…

「夜歩く」

おなかを出して寝るのは、気を許している証拠らしい。ようやくニコもリビングとダイニングは安心していられるようになってきたようだ。ドアが大きく開いていればリビングからホール、そこから通じている和室、二階への階段、そして玄関土間へは平気な様子で…

『オルフェオ』 リチャード・パワーズ

愛犬フィデリオの異変にあわてたピーター・エルズは緊急サービスに電話した。それが事をややこしくしてしまった。やってきた二人組の刑事は、大量の本やCDで埋まった書棚、犬の死体、素人には不似合いな化学実験器具から何かを察知したのか、翌日別の二人組…

「最初の晩餐」

わが家に来てから三週間ほどたつ。少しずつだが馴れてきているのを毎日感じる。ヒマラヤンはあまり高いところに上らないと言われている。家に来てからも、じっとしていたい時や眠る時は椅子の下や部屋の隅っこにいることが多かった。ところが、ここ何日か、…

「トリミング」

今日はこの前病院にいってから一週間。毎日ちゃんと薬を飲ませたので、そろそろよくなったかと思っていたのだが……。培養の結果、ニコのボツボツは真菌のせいだと判明。先生が言うには、この際バリカンで毛を刈って、シャンプーしたほうがいい、という無情な…

『老首長の国』 ドリス・レッシング

南ローデシア(現ジンバブエ)を主な舞台とした短篇集。ドリス・レッシングはペルシアに生まれ、五歳の時、南ローデシアに家族で移住。そこで三十年過ごした後英国に渡り、作家となる。副題にあるとおり、アフリカに想を得た短篇ばかりを集めているが、なか…

「ニコ紹介」

わが家に三年ぶりに猫が来た。ヒマラヤンの雌で名前はニコ(Nico)。初代の猫の名がニケだったので、女神つながりの名前を考えたのだけれど、どうもぴったりこない。そこで、電話帳ではないが、ニケの次の娘だからニコということにした。8月20日が誕生日だっ…