青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『結ばれたロープ』フリゾン=ロッシュ

登山の経験もなく、山の近くに住んでもいないのに、何故だか山の生活を書いた小説を見つけると読まずにいられない。自分には出来ないことをする人々への憧憬があるのだと思う。最近読んだものの中ではローベルト・ゼーターラーの『ある一生』やパオロ・コニ…

『夜の果てへの旅』L=F・セリーヌ

それでは、これがあの悪名高いセリーヌの代表作なのか。読み終えて意外な気がした。おそるおそる手に取ったせいかもしれないが、若い頃の作品ということもあり、まだ反ユダヤ主義は顔をのぞかせてもいない。それどころか、主人公はこんなことまで言っている…