青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『フランキー・マシーンの冬』ドン・ウィンズロウ 東江一紀 訳

<上下巻併せての評です> 「自分流に生きるのは骨が折れる」これが書き出し。実にその通り。できるなら、人に合わせ、時流に合わせて生きていくのが楽に決まっている。でも、それができない人間がいる。フランク・マシアーノがそうだった。コーヒーの淹れ方…

『われらのゲーム』ジョン・ル・カレ 村上博基 訳

元英国情報部出身で、数々の名作を生みだし、スパイ小説というジャンルを確立したジョン・ル・カレが昨年十二月に亡くなった。つい最近『スパイはいまも謀略の地に』を読んで、その健在ぶりに目を見張ったばかりだったのに。もうこれで、彼の新作を読む機会…