青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『平凡すぎる犠牲者』レイフ・GW・ペーション 久山葉子 訳

「チビデブ」で、仕事には不熱心。口にこそしないが、内心では差別意識丸出しで他人をけなし続け、当然ながら自己評価はめちゃくちゃ高い。ところが、なぜか最後にはきまって事件を解決してしまう。こんな適当な人物が主人公を務める謎解きミステリ、読んだ…

『壊れた世界の者たちよ』ドン・ウィンズロウ 田口俊樹 訳

ドン・ウィンズロウの最新作は意外なことに中篇集。しかも、全六篇のどれも少しずつタッチが異なるところがうれしい。『犬の力』にはじまるメキシコ麻薬戦争三部作は、おそらく作家の代表作となるのだろうが、実録小説風の『犬の力』や『ザ・カルテル』がド…