青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

雪見露天風呂

いよいよ明日からは仕事。連休も最後なので、温泉にでもいくことにした。その前に一つ仕事を片付け、玉城ICから高速に乗った。初めは近くの多気にある温泉を考えていたのだけれど、せっかくの無料区間。もうちょっと走りたくなってきた。久居で降りて榊原温泉に行くことにした。
車を降りたら、冷たいものが頬を撫でた。ふふん。今日は雪見露天か、とにんまりした。料金を払って入場。すると、男湯と女湯の分かれるところに張り紙があった。
「ボイラーが故障したため露天風呂には入れません。」
ガーン。ここまで来てそれはないだろう。しかし、もう料金は払ってしまった。入るしかない。案の定、中は超満員。広い内風呂には湯気の向こうに人の影がいっぱい。すきまにもぐりこんで、やっと壁際を確保。ふう。
次はサウナに。ここもいっぱいで、しばらくは立っていた。常連らしい人が話している。
「ここもよくこわれるなあ。ついこの前リニューアルしたところだろ。」
「いちばん古いからなあ。この辺で。」
「今度はなかなか直せないよ。だいいちそんな金がどこにある?」
「直す間、どこか別のところで営業できないかなあ。」
「前の田んぼか?見晴らしはいいけどなあ。(笑)」
ここの日帰り温泉は公営なのだ。ボイラーの故障中は露天はあきらめるしかないのか。洗い場の空きを見つけて体を洗い、また内風呂に入った。寒いせいか湯気がいっぱいで、前がよく見えない。窓ガラスに顔をくっつけて外をのぞくと?入れないはずの露天風呂に人影が見えるではないか。
だめもとで、外に出てみると、檜でできた樽風呂の前にも張り紙が。
「管理上お湯は出ていますが、温度が低く入浴には適しません。」
そうはいっても涼しい(?)顔で入浴中の人がいるじゃないか。おそるおそる手を突っ込んでみると、何と好い湯加減。さるびの温泉の源泉かけ流しのお湯より温かいくらいだ。さっそく,先客の仲間入り。うーん。ちょうどいい。体温より少し温かいから38度くらいか。ゆっくり浸かるならこれくらいがちょうどいいのだ。そうこうしていると、さっきから降っていた雪が湯の中に。
雪見露天だ。最高の気分。人が入っていれば、のぞきたくなるのは人情。
「どうですか?」と試しに入りに来る人が続々。
「いい湯加減ですが、一度入ると出られませんよ。外に出ると寒くて。」なぞと、おどかす。もっと入っていたかったが、なにしろ、樽風呂。五人も入ればいっぱいだ。後の人に譲って出ることにした。当然内風呂でもう一度じっくり温まってから出た。
念願の雪見露天風呂が味わえて最高でした。「湯の瀬」の皆さん。露天風呂はあの温度でかまいませんので、どうかそのまま営業をお続けください。