青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『楽園への道』 マリオ・バルガス=リョサ

章が替わるたび、二つの物語が交互に語られる。主人公の一人は画家ポール・ゴーギャン。もう一人は、その祖母にあたるフローラ・トリスタン。ポスト印象派の画家ゴーギャンについてなら、ある程度は知っていた。だが、フローラ・トリスタンという女性については…

『ジョゼフ・コーネル−箱の中のユートピア』 デボラ・ソロモン

ジョゼフ・コーネルはアメリカ人。ニューヨーク市近郊クィーンズのユートピア・パークウェイという名前だけは素敵な町の小さな木造家屋に住み、口うるさい母親と障碍を持つ弟と暮らしていた。昼間は毛織物などのセールスをし、家族が寝静まった夜、地下室で…

『ポータブル文学小史』 エンリーケ・ビラ = マタス

2000年に出版された『バートルビーと仲間たち』で、わが国でも知られるようになったエンリーケ・ビラ=マタス。彼がヨーロッパで人気を得るきっかけを作ったのが、『ポータブル文学小史』である。1924年、マルセル・デュシャンを中心にヴァルター・ベ…