2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「犬」「物語」「虚栄」「ひとりの女が歳をとると」「老女と猫たち」「嘘」「ガラス張りの食肉処理場」の八編からなる、モラルについての短篇集。はじめの二篇を除く六篇は、一人の年老いた老作家エリザベス・コステロをめぐる、ある一家の物語。時間の推移…
『ポリフィルス狂恋夢』という絵入り本の話を初めて読んだのは澁澤龍彦の『胡桃の中の世界』だった。サルバドール・ダリの絵の中に登場する、飴細工を引き延ばしたように細長い足を持ち、背中にオベリスクを背負って宙を歩く象のイメージも、この本の中に収…
ただ「怪談」と聞くと川端の枝垂れ柳や、枯れ薄の叢の中の古沼、裏寂れた夜道といった妙に背筋が寒くなる風景を思い描いてしまいそうになる。それが、前に「英国」という二文字が着くと、急に座り心地のいい椅子や、炉端に火が用意された落ち着いた部屋のこ…