青玉楼主人日録

仮想の古書店「青玉楼」の店主が、日々の雑感や手に入った新刊、古書の感想をつづります。

八ヶ岳鉢巻道路

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昨年、一昨年とヴィーナスライン経由で麦草峠、白駒池が続いたので、今年は八ヶ岳南麓の通称「鉢巻道路」を走ることにした。中央高速を小淵沢で下り、道の駅小淵沢に隣接するホテルのレストランで昼食をとった。夏ばてなのか、年のせいか、SAや道の駅の食堂のメイン料理は胃にこたえそうで今ひとつ食指が動かない。松花堂の小鉢くらいだと食欲が湧く。妻は虹鱒の梅酒煮というめずらしい料理を注文。薬膳を意識した料理は、淡泊な味つけで美味しかった。

今回のドライブは昔よく行った貸別荘のある辺りを再訪し、清泉寮のソフトクリームを食べ、温泉につかるという気楽なメニューである。かつては有料道路の検問所があった富士見高原との分かれ道を右に取り、清里方面を目指す。長坂の信号で右折すると、貸別荘地への入口。広い牧草地の向こうに林が広がり、のどかな風景は昔と変わりがない。鹿を見つけたのもこの辺りだった。

別荘地への入り口は、ヨーロッパを意識した噴水が新しくできて、すっかり雰囲気が変わっていた。貸別荘そのものは昔のままだが、コンセプトが変わったのだろう。食料品店や土産物売り場は閉鎖していた。野辺山が近く高原野菜が美味しかったのを覚えている。今では、自分たちで料理をしたりはしないのだろうか。一軒の別荘で布団を干していたから、利用者もあるらしい。

もとの道に戻り、清泉寮を目指す。駐車場はどこだったかと思いながら走っていくと、大量の車列に驚いた。牧草地だった辺りまで、すっかり車が入りこんでいる。一台空いたスペースに車を停め、清泉寮に向かって歩き出した。以前は、仮設スタンドで販売していたソフトクリームは、今では別に一棟が設けられ、長蛇の列ができていた。

列の長さに、半ばあきれ、並ぶ意欲もなくし、ギフトショップの方に入った。ここも以前は小さな売り場にキーホルダーや財布といった限られた物があるだけの素朴な場所だったが、今ではいろいろな土産物の並ぶどこにでもあるショップに変わっていた。玄関から左は宿泊客しか入れないことになっている。その佇まいだけは昔のままだったので、少しほっとした。

おみやげに、ヤマネのぬいぐるみを買った。長男のお気に入りだったが、ニケが咬んですっかりぼろぼろになってしまったそれを見て、しょんぼりしていたのを思い出した。長男に一つと我が家用に一つ、紀州と信州のヤマネを買った。わずかに色がちがうのがご愛敬だ。しかし、これは可愛い。ニケが遊びたくなるのも無理はない。

列が短くなったので、ソフトクリーム売り場に向かった。ほぼ待つこともなく無事ソフトクリームにありついた。ここのソフトはジャージー種の牛乳を使用しているのが売りで、濃厚なクリームの舌触りが特徴。ただ、とけやすいので、要注意。徒歩三分という看板につられて、やまねミュージアムを訪れた。本物の展示はない。かつては、ここはネイチャーセンターとして解放されていたのを思い出した。野生生物のサンクチュアリになっているのは、今も変わらない。

散歩で汗もかいたので、温泉に向かう。甲斐大泉駅の近くを探して、「甲斐大泉温泉パノラマの湯」の看板を発見した。すぐ近くにあるのだが、少し分かり難かった。ここの売りは、露天風呂から富士山や赤岳が見えること。残念ながら、この日は雲が出ていて富士山は見ることができなかった。学生時代山梨にいた妻は見たかっただろうな、と思った。

沿道には、薄の穂やコスモスが咲き、高原は初秋の装いをはじめていた。途中、運転を交代してもらい、仮眠したのがよかったのか、その後は最後までしっかり運転できた。久しぶりのロングツーリングを満喫した一日であった。写真はドライブのお供の直次郎と東沢橋でパチリ。